2013年12月16日月曜日

"リアル"って時代によって違うね。

草月ホールにて1日限定で上映していたロベール・ブレッソンのデビュー作、
『罪の天使』を観てきました。
映画史の中でも特異な存在のブレッソン映画のデビュー作というのと
会場が草月ホールというのもあって、
お客さんの年齢層も高く上映前もやれタルコフスキーがどうしたとか、
ブレッソンの他の作品とか知的レベルの高い会話が聞こえてきました。
当然のコトながらマナーも良いという。
そりゃそうか。なってったってブレッソンだからねー。

内容は、修道院にて熱心に信仰に励む女性が巻き起こす諍いと
もう一人罪を犯してその償いの為に入信する修道女、
そしてその修道女が入信する前に犯した殺人事件が
物語の軸になった作品。
主人公の修道女、アンヌ・マリーの真っすぐな純粋さが暴走し、
それに周りが違和感を覚えていくという構成は、
古典的だけどそれだけでドラマになる要素に思えた。

ブレッソン監督の作品は、
冷徹な目線、素の演技が特徴的と評論文とかで見かけるけど、
デビュー作『罪の天使たち』はそれがまだ顕著ではないように思えた。
影を使った演出、霧がかった夜道のシーン、そしてよく動くカメラ。
それらは劇映画として成立する要素のような気がした。
まぁ、これはこれでカッコ良かったんだけど。

作品が造られた1943年当時は画の質感や演技等、
この時代では成立していた"リアル"というコトなのかもね。
今なら"リアルを感じさせる画"って言ったら、
IphoneとかIpadの画質じゃないかな。
でも、instagramみたいなアプリで日常を
捉えている人も多いから、
リアルというよりファンタジックな画の方が多いか。
ってなると、ビデオカメラが一番リアルか。。
演技はどうだろう、、「あいのり」的な感じ?

あと、気になったのは、画面。
サイズが4:3のビスタサイズだったので、
スクリーン上でトリミングしていたんだけど、
サイズが合ってなくて画面の端が切れていた。
どうせならこういうところも気を使った欲しいなと。

そんなこんなで"その時代に合ったリアル"というのを
考えずにはいられない一品でした。


R・ブレッソン作品、他の作品は未見なのでチェックしてみようかな。

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